没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

「日本にご興味を持っていただけて嬉しいですわ。日本という国は――」

日本人は皆、黒髪でちょんまげという髪形に結っており、〝ヒモノ〟という服に草履という草で編んだ靴を履いているのだとサラは話した。

「おお、私は知っておりますぞ。三百年前の聖女サヨ様と同じですな」

サラの向かいに座っているのはギブソン伯爵という中年男性で、若かりし頃、国立図書館で聖女に関する文献を読んだことがあるという。

そこにサラが話した日本人の特徴と同じ内容が書かれていたと、得意げに皆に教えていた。

「聖女は日本から召喚された乙女がなれるようですな。サラ様はまごうことなき聖女様だ」

周囲の貴族たちがサラに畏敬の眼差しを注ぐ中、オデットだけは首を傾げている。

「あの……」

オデットが遠慮がちに声をかけると、「なんですか?」とジェラールが大きな声で反応して皆の注目を浴びた。

「ヒモノではなく着物です。ヒモノだと乾物になってしまいます。それとちょんまげは日本人全員ではなく、大人の男性しか結っていないと思います」

「え?」