没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

「殿下、異世界よりご降臨されたサラ様が、この国のマナーにうとくて当たり前ではございませんか。もう少し優しいお声をかけてあげてください」

「そうですね。サラさん、失礼しました」

ジェラールは言い返さずにすんなりと非を認め、サラに微笑みかける。

サラはホッとしたように笑みを返し、インペラ宰相の機嫌が戻った。

「早くも打ち解けたご様子ですな。おふたりはそういう運命にあるのでしょう。実にお似合いです」

サラを王太子妃にという国王の考えはまだ公にされていないので、驚いた貴族たちがざわざわし始めた。

「それはつまり、聖女サラ様を――」

オデットは名前を知らない男性貴族が確かめようとしたが、すかさずジェラールが話題を変える。

「サラさんは先ほどの紹介で日本という国から来たと言っていましたね。ぜひどのような世界かを聞かせてください。皆さんも興味があるでしょう」

やっと和やかに会話を楽しめそうだと感じたのか、貴族たちは乗り気の様子である。

日本の話が聞きたいオデットも体ごとサラの方に向いて注目した。

インペラ宰相が頷いたら、サラが話しだす。