没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

着席してからもジェラールはサラに対して冷たい態度を崩さず、会話らしい会話をしなかったというのに、急に話しかけられてサラは驚いていた。

紳士的に微笑みかけるジェラールになにかを期待して、サラの口角も上がる。

「前菜のお味はいかがでしょう?」

「はい、美味しいです」

「どれくらい?」

「食べたことがないほど美味しいですわ」

誘導尋問に引っかかったサラが「あっ」と口元を押さえたが、もう遅い。

ジェラールが大袈裟なほど爽やかな笑顔を作って周囲に聞こえるように言う。

「あなたも前菜に感動しているのですね。オデットと同じです。それとひとつ、注意させてもらうと、お使いのフォークは前菜用ではありませんよ」

アンダープレートの左右には何本ものカトラリーが並べられており、サラが前菜に使ってしまったのは魚料理用のフォークであった。

恥をかいて赤くなるサラを周囲の貴族たちがどっと笑ったが、インペラ宰相が不機嫌そうに咳払いをしたためすぐに静まった。

最初にオデットをおとしめたのは宰相なのに、サラをかばって文句をつける。