没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

「オデットは私の恋人です」

「こ、恋人!?」

「結婚を考えています。必ずや幸せにしますので、オデットを私の妃にいただきたい」

「き、妃!?」

オウムのように繰り返しては仰天する両親。

王家の反対勢力とみなされて以降、領地から出ずに細々と暮らしてきたので、天地がひっくり返るほどの驚きだろう。

「お父さん、お母さん、大丈夫?」

リュカを抱き上げたオデットが心配して声をかけるも、両親は石像のように固まって何も答えない。

(帰る前に送った手紙に、殿下のことも書いた方がよかったかしら)

驚きから回復するまでしばし時間が必要な様子なので、その間、弟と遊んでいようとのんきに考えるオデットだった。



三十分ほどが経って、居間には紅茶の湯気が立ち上っている。

四人掛けの長方形のテーブルに向かうのは両親とジェラールの三人で、オデットは絨毯に膝をつき、リュカを木馬に乗せて揺らしてあげている。

やっと驚きの波が去った両親は、オデットとジェラールの出会いを聞いて恋人関係にあることを納得してくれた。

オデットの父がしみじみと言う。