没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

それと、レオポルドが弟を恨んでいなかったという証拠探しのためだ。

ふたりで国王に挨拶に行った日から半月ほど、三十年前の話を聞かせてほしいとレオポルド派の貴族たちを訪ねたり、手紙を送ったりした。

けれども誰も協力してくれない。

王都近くに領地を持つ、ある伯爵邸を訪問した時には――。

『お帰りくださいませ。我が家には王太子殿下のお口に合うような紅茶や菓子はございません』

『もてなしてほしいわけではないのです。レオポルド伯父上の話を――』

『我らを排除しておきながら今さらなにを話せと仰るのですか? どうかお帰りを』

そのように追い返され、王族への強い拒否感を見せつけられただけであった。

それでジェラールがオデットの実家に行こうと提案したのだ。

『ログストン家もかつてはレオポルド派だ。先代当主から伯父上についてなにか聞いているかもしれない。父上から許しは得られていないが、ログストン伯爵に挨拶をしてオデットとの結婚の意志を伝えておこうとも思うんだ』