没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

言葉を切った国王はもう一度ため息をつき、それからオデットがわかるように説明してくれる。

「レオポルドとわしは双子の兄弟だ――」

この国では古くから第一王子が王位を継承してきたが、それは不文律。

双子王子が生まれた時に先代国王はどちらを王太子にするのか決めなかったそうだ。

おそらく兄弟を競わせ、優秀な方を後継にと考えていたのだろう。

それが、その後の混乱を生んでしまう。

先代国王が心臓病で急死し、後継争いが勃発したのだ。

貴族たちはそれぞれの王子を後援して二分し、ついには紛争が起きてしまう。

どちらが玉座に就くのか早く決めないととガブリエルは焦り、決着をつけようと申し込んだ数日後、レオポルドが亡くなったのだ。

レオポルド派の貴族はガブリエルを支持していた貴族らによって政界を追われ、利権も失い、随分と悔しい思いをしたのだろう。

三十年前の後継争いは今でも尾を引いており、レオポルド派は政界復帰を果たせぬどころか悪しき勢力とみなされている。