没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

(胸がドキドキする。この状況ってもしかして、殿下も私を……?)

さすがのオデットでも恋が成就する気配を感じたが、ジェラールの告白は期待を遥かに超えていた。

「素直で純粋、可愛らしくて時々ミステリアス。そんなオデットがたまらなく愛しい。どうか俺と結婚してほしい」

「け、結婚……!?」

「そう。俺の妃はオデット以外に考えられない。必ず幸せにするよ」

盛大に驚いたオデットは返事ができずにジェラールの顔を見上げていた。

好意を寄せてくれるだけで十分すぎるほど幸せなのに、プロポーズまでされては呼吸するのも忘れてしまう。

(私が、殿下の妻に? 夢を見ているのかしら……)

息が苦しくなり倒れそうになったら、抱きしめるように支えられて視界に男らしい喉仏がアップで映る。

「オデット、大丈夫?」

「は、はい。あの、すごく驚いて……」

「そのようだね。かなり前からわかりやすく好意を伝えていたつもりだったんだが」

「えっ、そんなことありました?」

あまりの鈍感さに絶句させてしまったが、ジェラールはすぐに笑って「オデットらしい」と言ってくれた。