「へぇ、すごいな。たまにオデットになってみたいと思うんだ。石にしみ込んだ想いが流れ込むとは、どんな感覚なのか味わってみたい」
「ジェイさんが私になるんですか?」
王城騎士を従えて公務にあたる凛々しい自分を想像したオデットは、似合わないとおかしくなってクスクス笑う。
「あ、辻馬車が来ます」
空車を示す白い旗を立てた辻馬車が、前方からゆっくりとこちらに向かってきた。
オデットは立ち止まり、手を上げて停めようとする。
けれどもその手を握られて阻止され、辻馬車は通り過ぎてしまった。
「乗らないんですか?」
オデットが目を瞬かせたら、ジェラールが瞳に蠱惑的な色を灯した。
「そこにレストランがある。せっかくふたりきりで外出したんだから食事をしよう。オデットとデートがしたい」
間もなく夜の帳が下りようとしている。
石畳の広い道にはガス灯が等間隔に並んでいて、見つめ合うふたりの気分を盛り上げようとするかのように炎を揺らしていた。
デートという甘い響きにオデットは頬を染め、鼓動は振り切れんばかりに高鳴った。
「ジェイさんが私になるんですか?」
王城騎士を従えて公務にあたる凛々しい自分を想像したオデットは、似合わないとおかしくなってクスクス笑う。
「あ、辻馬車が来ます」
空車を示す白い旗を立てた辻馬車が、前方からゆっくりとこちらに向かってきた。
オデットは立ち止まり、手を上げて停めようとする。
けれどもその手を握られて阻止され、辻馬車は通り過ぎてしまった。
「乗らないんですか?」
オデットが目を瞬かせたら、ジェラールが瞳に蠱惑的な色を灯した。
「そこにレストランがある。せっかくふたりきりで外出したんだから食事をしよう。オデットとデートがしたい」
間もなく夜の帳が下りようとしている。
石畳の広い道にはガス灯が等間隔に並んでいて、見つめ合うふたりの気分を盛り上げようとするかのように炎を揺らしていた。
デートという甘い響きにオデットは頬を染め、鼓動は振り切れんばかりに高鳴った。



