威圧感のある冷たい視線にオデットが肩を揺らしたら、ジェラールの声がした。
「カディオ、優しく対応してくれ。その子をこちらに」
「はい」
不服そうに返事をした近侍に連れられ、オデットは執務机を挟んでジェラールと向かい合った。
万年筆を置いた彼の顔色は悪い。
ブラウス一枚の薄着なのに額にうっすらと汗をにじませ、熱がある様子だ。
具合が悪そうだと心配するオデットを気遣ってか、ジェラールがニコリと微笑んでくれる。
「私の近侍が怖がらせてすまなかったね。仕事中に無理を言って連れてきたことにもお詫びしよう。私は大丈夫だから君は帰っていいよ。カディオ、お礼を渡して送ってあげて」
治療しなさいと言われずにすんでオデットはホッとした。
けれどもドア口に立っている官人は、余計な真似をしたと言われた気がしたのか焦ったように口を挟む。
「恐れながら、このまま帰すのはいかがなものかと。我々は殿下をご心配申し上げ――」
「わかっているよ。いつも尽くしてくれてありがとう。だが君たちは心配性がすぎる。微熱が続いているくらいで大騒ぎしないでくれ」
「カディオ、優しく対応してくれ。その子をこちらに」
「はい」
不服そうに返事をした近侍に連れられ、オデットは執務机を挟んでジェラールと向かい合った。
万年筆を置いた彼の顔色は悪い。
ブラウス一枚の薄着なのに額にうっすらと汗をにじませ、熱がある様子だ。
具合が悪そうだと心配するオデットを気遣ってか、ジェラールがニコリと微笑んでくれる。
「私の近侍が怖がらせてすまなかったね。仕事中に無理を言って連れてきたことにもお詫びしよう。私は大丈夫だから君は帰っていいよ。カディオ、お礼を渡して送ってあげて」
治療しなさいと言われずにすんでオデットはホッとした。
けれどもドア口に立っている官人は、余計な真似をしたと言われた気がしたのか焦ったように口を挟む。
「恐れながら、このまま帰すのはいかがなものかと。我々は殿下をご心配申し上げ――」
「わかっているよ。いつも尽くしてくれてありがとう。だが君たちは心配性がすぎる。微熱が続いているくらいで大騒ぎしないでくれ」



