「一昨年、騎士服の色合いを少々薄いグレーに変えたんだ。太陽光を吸収して夏は暑さが厳しいと苦情が出たからね。あの男が着ていた騎士服は、今と比べてグレーの色が濃い。つまり古いタイプということだ」
退役者は騎士服の返納が義務づけられているのだが、本物のダニエル・ヘインズはその規則を破って持ち帰ったのだろう。
その者については事情聴取するよう命じたらしい。
「そうだったんですか。じゃあマシューさんが本名なのかしら……」
「どういうこと?」
オデットは酒場でのやりとりを報告した。
ジェラールに言われた通り、まんまと丸め込まれてダニエルの言い分を信じてしまった点には呆れられたが、これでルネを騙して金づるにしているのが判明した。
「私、悔しいです。ルネはダニエルさんを心から愛しているのに、こんなの許せません!」
オデットがリスのように頬を膨らませたら、ジェラールがプッと吹きだした。
「オデットは怒った顔も可愛いな」
からかうようなことを言った彼は、オデットの頬を包むように手を添える。
たちまち頬を染めれば、琥珀色の瞳がなにかを狙って弧を描いた。
「キスしていい?」
退役者は騎士服の返納が義務づけられているのだが、本物のダニエル・ヘインズはその規則を破って持ち帰ったのだろう。
その者については事情聴取するよう命じたらしい。
「そうだったんですか。じゃあマシューさんが本名なのかしら……」
「どういうこと?」
オデットは酒場でのやりとりを報告した。
ジェラールに言われた通り、まんまと丸め込まれてダニエルの言い分を信じてしまった点には呆れられたが、これでルネを騙して金づるにしているのが判明した。
「私、悔しいです。ルネはダニエルさんを心から愛しているのに、こんなの許せません!」
オデットがリスのように頬を膨らませたら、ジェラールがプッと吹きだした。
「オデットは怒った顔も可愛いな」
からかうようなことを言った彼は、オデットの頬を包むように手を添える。
たちまち頬を染めれば、琥珀色の瞳がなにかを狙って弧を描いた。
「キスしていい?」



