「お待たせしました。ロコモコ丼です」


 私はどんぶりを持って彼の元に行くと目の前に置いた。


「え、美味そう……食べていい?」

「はい、どうぞ」


 そう言えば彼は手を合わせて「いただきます」と呟くと一口サイズにハンバーグをスプーンに乗せると口に入れた。


「美味い! え、なにこれ!」

「えっとロコモコ丼です……」

「いや、それは知ってる。君のご飯美味しいよ。合格! 姫になって」


 彼は私の両手を握るとブンブン縦に振った。


「俺、自己紹介してなかった。吉良(きら)鼓魅(つづみ)、総長です」

「あっ、はい。私、佐川結衣です。よろしくお願いしますっ」


 お辞儀をすると「そーゆーのはいいから」と私の頭を撫で回した。


「じゃ、早速行こうか」


 そう言うと、吉良さんは私の荷物を持ってくれて学校から出ることになった。

 なんとか住む場所が出来てホッとした。だけど、これからいろいろ起こるなんて私は想像もしていなかった。