「……え? 契約できてない? そんなはずは、ないと思うのですがっ」

「そんなこと言われてもねぇ。だってあなたの名前、ないし」


 まさかの事態、発生しました。

 予想していたことが的中してしまったみたい。


「そうなんですか、すみません。お時間取らせてしまって……」

「いや、いいんだけどねぇ。大丈夫なのかい?」

「はい。多分、何とかなります。します。ありがとうございました」


 大家さんの家での滞在時間、約五分ほどだった。家を出ると、私はこの近くにあったカフェに入る。


「いらっしゃいませ、ご注文お決まりですか?」

「えっとアイスティーのミルクを」

「かしこまりました。お待ち下さい」


 店員さんが下がると私は水を一口飲む。


「……これからどうしようかな」


 心配なのはこれからのことだ。
 学校は決まっているのに住む場所がないとか、生きていけるのかな……