「……マル、そんなに触るな」

「えーヤキモチ? 鼓魅くん」


 マルくんが私にくっついていると吉良さんにマルくんと引き離される。


「吉良さん? どうかしたんですか?」

「結衣ちゃん、俺以外の男にベタベタしちゃだめ」

「え? あっ、ごめんなさい。距離おかしかったですよね!」


 私は吉良さんから少し離れると今度は引き寄せられて彼の胸にダイブしてしまう。


「……っ、き、吉良さん?」

「くっつくのは俺にだけ」

「そ、ですか……多分了解です」


 そう言えば吉良さんは頭をポンポンして撫で始めた。


「鼓魅、下でみんな集まったから」

「おーそうか。じゃ、結衣少しだけ下に行くよ」


 吉良さんに連れられてきた時にも使った階段で下に降りると、さっきまでバラバラで遊んでいた男の子たちが行儀良く整列して待っている。まるで全校集会みたいな光景だ。


「えーと、みんな集まってくれてありがとね。紹介するけど、姫ができました。結衣ちゃんです」


 めちゃくちゃ軽い口調で私を紹介する吉良さんは暴走族の総長には見えない。だけど、こそっとマルくんが「本気出したらすごいから」って教えてくれたけど……はっきり言って信じてない。


「結衣ちゃんは可愛いけど、触っちゃダメだからね」


 そう言うと元気よくみんな声を揃えて「はい!」って言っていて仲良しなんだなって思った。


「……触ったやつ、ブッコロスから覚えておいて」

「はい!」


 いやいやいや! なんか物騒な言葉が聞こえたけど!?


「じゃ、解散! 後は自由にどーぞ」


 吉良さんの声でみんなバラバラに散らばった。それを見て面白いなぁなんて思いながら吉良さんと一緒にさっきまでいた部屋に戻った。