ママの手料理 Ⅲ

何て素敵な案だろう、車内の比較的安全な場所から皆の役に立てるなんてこの上ない幸せだ。


「…待って、それって私達のどっちが銃を連射するの?」


声を大にして賛成!、と言いかけた私は、ある疑問にぶち当たって恐る恐る手を挙げた。


(まあ、私でも良いけど…出来なくはないけど、でも怖いじゃん…)


何せ、ホラードラマでまだ何も異変が起きていない時から叫ぶ程の怖がりなのだ、例え遠隔操作だろうと実際に銃なんて使ったら発狂して気絶するかもしれない。


遠回しに“自分はただの操作希望です”というオーラを出しながら、そっと笑美ちゃんの方を見ると。


「…あの、私は下僕養成所で射撃の訓練を受けていました…成績もトップの方でしたので、腕には自信があります…」


その華奢な細過ぎる腕からは考えもつかない程の、自信たっぷりな言葉が返ってきた。


もしかして、彼女に無理を言わせてしまったのではないだろうか。


下僕で、主人の言う事に忠実な彼女の事だから、きっと自分の意見を押し殺しているに違いない。


そう感じた私は、


「…本当に?笑美ちゃん、嫌なら嫌って言っていいんだよ?私も怖いけどさ、目を瞑ってなら撃てるし」


と、慌てて伝えたものの。