計画立ての時は仁さんはいつも壱さんになるのだけれど、今朝その事を忘れてしまっていた私は、朝起きた瞬間自分の真上に壱さんが馬乗りになっているのを見て驚きのあまり彼の股間を蹴り上げてしまった。


私が寝ている所を襲おうとしていた最低な壱さんはその一撃により反省しているらしいけれど、今度からは私が起きている最中に人格交代するようきつく言っておいた。



「話を戻すよ!懸賞金は3億だけど、それは全部貯金に回す事にする。僕の口座で管理するから、宜しくね。…それで、今回は女子以外の全員に盗みに参加してもらおうと思う。正当防衛でなら殺しも可能で、武器は何を使ってもOK」


湊さんの淡々とした言葉遣いに、私は多少のやり切れなさを感じつつも頷いた。


笑美ちゃんはともかく、実は私はOASISの闘い以降、mirageの人達から少しずつ格闘を教わっていた。


まだまだ技術は半人前だけれど、初めに比べたら格段と強くなったと思う。


それでも、やはり怪盗という本当の盗みの場所では私は役立たずなのだ。


ここで、怪盗というものをアニメの中の世界のように空を飛んだり警官になりすましてするっと目当てのものを盗んで逃げていく…という風に捉えている人に伝えたい。


本物の怪盗には、そんな甘ったれた話は通用しない。