「あの、仁さんは本気で一夫多妻制を実現させたいんですか?」


しばらくの間があき、そっと尋ねてみると。


「違うよ?僕は、mirageの中で大也だけが日本で結婚出来ないのは嫌だから、せめて大也と同じ立場になろうと思って言い続けてただけ」


何だか胸が打たれる答えが返ってきた。


「…大也の事、良く見てますね」


「ストーカーみたいに言わないでよ。元カレが元カノにずっと執着してしまいには殺すみたいなパターン、あれ僕大っ嫌いだから」


精一杯褒めたはずが、話が捻れて返ってきた。


はあ…、と私はため息をつき、ベッドに深く沈み込む。


大也にこの事言わないでね、と念押しされ、言葉の代わりに頷いた。


「大也、大丈夫ですかね」


「大丈夫でしょ。大丈夫じゃなくても銀河が居れば何とかなるって」


再び問うと、何とも他人任せ答えが返ってきて。


(なら良いけど、)



段々、瞼が下がってくる。


その重力に抗うように私は目を擦り、今日は最後となるであろう質問を彼に投げ掛けた。


「前から思ってたんですけど、…仁さんって、何で大也と仲悪いんですか?」



隣で、キャラメル色の髪がサラサラと揺れた。


その艶のある色は、何処か伊織を思い出させる。


「……何でって、」


仁さんが吐いた吐息の中には、後悔も含まれている様な気がした。









「…僕が、あいつの髪の色を貶したからだよ」









夜は、刻一刻と過ぎていく。