どうしてこんなにも怖がりになったのだろう、と軽く自分を責めながら、私は再び画面に映し出されたゾンビの姿を見て発狂した。



「はーっ、はーっ…疲れた……。あの、このドラマ…R18でしたっけ?」


そうしてゾンビのシーンが一段落し、主人公の回想シーンに切り替わった所で、私は流れる冷や汗を拭きながら隣に座る男に尋ねた。


何だか、叫び過ぎて息切れが酷い。


「いや、年齢制限は無いと思うけどね」


(いや絶対おかしいでしょ、こんなの子供が見たら卒倒しちゃうって!)


「……これ、絶対教育に悪いですよ…、ちょっと私、耐性付けないと…」


飄々とした答えを聞いた私は、息を必死に整えながらそう呟いた。


「耐性って…別に大丈夫だよこの位。…あ、あれゾンビの手じゃない?」


笑いを含んでいた仁さんの声が不意に真剣なものになり、私は少し隙間を開けた手で目を覆いながらテレビ画面を凝視した。


テレビの中では主人公の友達が廃墟を音を立てずに歩いていて、しかしその物陰には明らかにゾンビの姿がある。


此処でこの人が音を立てた場合、ゾンビが襲ってきて即死だろう。


「え?ちょっとあれ絶対襲ってくる…いや何で音出しちゃうのー!?あーもう駄目だこの人、死ぬ死ぬ死ぬほらあぁああ!」