ママの手料理 Ⅲ

そして廊下に残されたのは、私と仁さんのコンビのみとなった。


仁さんの事は普通に好きだから、同部屋になるのは苦ではない。


2人で与えられた部屋に向かう最中、仁さんの方から話しかけてきてくれた。


「これから2週間よろしくね。ずっと隣で僕の美貌を見続けられるんだから、感謝してくれて良いんだよ?」


「…はあ、」


…いや、こんなナルシストと2週間も一緒の部屋なんて、耐えられる気がしない。



私達の与えられた部屋は、確かにベッドは2つしかないものの豪邸の様な広さを誇っていた。


目の前には大きな窓とベランダが設置されていて、そこから見える景色は言葉に言い表せない程壮大で。


目の前に広がるのは人口湖とアメリカらしい超高層ビル、隣には大きな公園があって、視線を遠くに向けると青く綺麗に輝く海が見える。


「仁さん見てください!海ですよ!」


キャリーケースを寝室ドア近くに移動させた私は、荷物整理を放り出して窓の近くに駆け寄った。


(凄い、こんな景色今まで見た事ない…)


トカゲのように窓にへばりつき、窓ガラスに顔を押し当ててその景色を堪能していると。


「ねえ、そんな見苦しい事するなら外出ちゃえばいいじゃん。ちょっと離れて、窓開けるから」