ママの手料理 Ⅲ

「いや待って何でそうなる?まず俺は琥珀と相部屋、これは決定事項ね。その上で、紫苑ちゃんと航海の相部屋は危ないっていう意見を言ってるわけよ」


「何でお前が俺と……お前、ナルシストとでも寝ろよ」


開き直って自信満々な意見を押していく大也に、琥珀が呆れた様に舌打ちをして新たな相手を提案し。


「そうだよ大也、何なら僕が夜に相手してあげるよ?」


当たり障りのない笑顔を浮かべた仁さんが、すかさずその波に乗った。


「え、死んでもやだ。絶対無理」


しかし、その誘いはあっけなく惨敗に終わり。


(わ、何て酷い断り方…)


思わず手で口を押えたものの、当の本人は全くダメージを食らっていないのかのほほんと笑っていて、流石だな…と溜め息が零れ出た。




「分かった、此処は公平にじゃんけんでいこう」


そして、全く話の進まない論争から3分が経過し、我慢出来なくなったらしい湊さんが声を張り上げた。



その結果。


湊さんと笑美ちゃん、琥珀と航海、銀ちゃんと大也、そして仁さんと私が同部屋になった。


湊さんと笑美ちゃんのコンビは、いつものように笑いながら隅の部屋に入って行き、琥珀と航海の余り見ないコンビも仲が良さそうだ。


大也は最後まで琥珀に未練タラタラなようだったけれど、銀ちゃんに睨まれてすぐ態度を変え、お互い笑みを零しながら自分達の部屋に入って行った。