見るからに日本人ではあるけれど、鼻も高いしスタイルも良いし、服も体のラインが分かるタイトなものだし、最早あっぱれという言葉しか出てこない。


「こちらこそ、招待して下さりありがとうございます」


我らがリーダーが丁寧に頭を下げたから、私達もそれにならった。


「私は林堂(りんどう)と申します。貴方は、吉良様のご嫡男でいらっしゃいますね?話は吉良様よりお伺いしております。…立ち話もなんですので、どうぞ中へお入り下さい。荷物もトランクへお願い致します」


その言葉を合図に、私達は持っていたキャリーケースと重い手荷物を降りてきた運転手に一斉に預け始めた。


「…あの、僕の両親も此処にいるんでしょうか」


そんな中、湊さんの小さな声が聞こえた気がして、私は後ろを振り返る。


「はい、そのようにお伺いしております。ホテルに到着した後、夕食のお時間にジェームズ様と婚約相手の方も含めた全員にお会い出来るかと」


「…そうですか」


そう呟くリーダーの横顔は、太陽の角度もあってか影が出来ていた。


その暗闇に浮かび上がる瞳は光を宿していなくて、初めて見るその表情に自分の目を疑う。


しかし、


「ご丁寧にありがとうございます。…ほら皆、荷物詰め込んだら乗っちゃっていいよ!」