「これからどうするんですか?」


実に2つもの巨大なキャリーケースと大きなリュックを背負った航海が、眠そうに欠伸をしながら口を開いた。


何でも、その大荷物の中にはナイフやら銃やら、怪盗フェニックスとの決戦で使うものがたんまりと入っているらしい。


そのリュックからは何処で手に入れたのか、植木バサミが姿を覗かせている。


そんなに丸見えな状態で、何故検査に引っかからなかったのかは今世紀最大の謎だ。


「んーとね、これからジェームズ達が予約してくれた高級ホテルまで行くんだけど、多分迎えが来てくれるんだよね…」


湊さんは駐車場の方をじっと見ながら航海の質問に答え、


「あっ、あれだ」


道を歩く現地人も振り返る程の大きな黒いリムジンがこちらに向かって来るを見て、にっこりと笑顔を浮かべた。


(…は!?あれ、噂に聞くリムジン!?)


時差ボケが激し過ぎて幻でも見ているのだろうか。


衝撃を隠せていないのは他の人達も同じようで、


「げっ、車の胴体長くね!?」


「お前ん家どんだけ金持ちなんだよ…」


皆、興奮と同時に困惑顔で顔を見合わせていた。



「皆様、話は吉良様とジェームズ様より聞いております。長旅、誠にご苦労様でございました」


異常に胴体の長いリムジンは器用に私達の目の前で止まり、中からほっそりとした華奢な女性が現れた。