ママの手料理 Ⅲ

今だって、大也は泣き叫びたいに決まっている。


仁さんが死んで自分も怪我して、私が閉じ込められて、最終的には湊さんの悲しい状況を目の当たりにして。


親に捨てられた子と親に必要とされなかった子だからこそ、何処か共感できる部分もあるのかもしれない。


色々な思いが頭の中を支配して、普通なら冷静にいられないはずなのに。


「ほら。…頼んだよ、リーダー」


湊パパは怪盗mirage全員を敵とみなしているけれど、根本的な原因は彼らの関係性である。


それを分かっている大也は、一瞬こちらを振り向いて優しく目尻を下げて。


ポンッと、怪盗mirageの唯一無二のリーダーの背中を叩いた。






「……お父様、」


しばしの沈黙の後に聞こえてきたのは、湊さんの小さな声。


やっと覚悟を決めたらしい彼は大也の手を握り返して立ち上がると、湊パパと怪盗mirage、両方の姿が見える位置に移動した。


(湊さん…)


彼の顔にはいつものにこやかな笑みなんて浮かんでいなくて、背筋に寒気が走る。


「お父様、…さっき、お母様を窓から突き落としましたよね?」


「ん!?」


続いて彼の口から飛び出た言葉に、私は目をひん剥いた。


(何て言った?湊ママを突き落とした…?)