ママの手料理 Ⅲ

湊パパの方を向いている湊さんがどんな表情をしているか分からないけれど、


「…何だよ、その言い方」


生まれてすぐに捨てられた経験のある大也の、悲しみと怒りを含んだ鬼の様な形相が、湊さんの全ての感情を代弁していた。


「続けますよ、良いですね?」


しかし、そんな台詞など気にも留めていない湊パパは、悪魔の微笑みを口元にたたえながら再び口を開いた。



「それからすぐ、私は怪盗パピヨンから下僕を買い取りました。言わば、忠実なベビーシッターですね。ジェームズと名付けられたそいつに湊はとても良く懐きまして、湊を彼に預けた私達はアメリカで本業を再開させました」


目をぱちりと開いた湊パパは、その垂れ目の中に私達怪盗mirageの姿を捉える。


最初こそ優しそうで湊さん似の目だと思っていたけれど、今は全く違う。


本当の湊パパの目は、1ミリの優しささえ持ち合わせていなかった。


「息子の事なんて心底どうでも良かったんですがね…。気が付いたら、いつの間にか日本で怪盗を結成していたではありませんか。しかもメンバーは10人に満たず、全員が訳アリな過去を持っている」


静かに話を聞く銀ちゃんの握り拳に、ギリギリと力が込められたのが見て取れた。