ママの手料理 Ⅲ

「本当だよ。あいつは、俺の目の前で、っ…」


檻の中で泣きじゃくる私に向け、大也が震える声を吐き出した。


(やだ、そんなっ、…目の前で……?)


大也は、必死に泣くのを我慢しているようだった。


「流れ弾が当たったんだ。この事は、航海と琥珀と伊織も知ってる。…だから、この盗みが終わったら、皆で仁を連れて帰ろう」


(航海と琥珀と、伊織も…?)


袖で目を拭いた私が顔を上げると、


「…知ってます。だから、壱さんと仁さんの為にも此処で決着をつけます」


「……」


私と同年代のはずの航海の身体からは、地割れが起きてしまうのではないかと心配になる程の強烈な殺気が放出されていて。


口を噤んだままの琥珀は、誰もがすくみ上がる勢いで真っ直ぐに湊パパを睨んでいた。



(やだ、やだやだそんなのやだ、!)



約束したのに。


私達は家族だから、離れ離れにならないって。



ねえ仁さん、あなたの弟が必死で泣くのを我慢しているんだよ。


自分達が本当の兄弟だって言わずに死んでどうするの。



「仁さっ、…!」


もう、最後まで声も出なかった。


顔は真っ直ぐ皆の方を向いたまま、涙だけが滝のように流れ落ちていく。