ママの手料理 Ⅲ

銀ちゃんはこの状況を想定していなかったらしく、私と同じような反応を見せたけれど、


「あれ、…なるほどなるほど、最初からそんな感じはしてたんですよ。何たってお2人の仲は険悪ムードがプンプンしてましたからね。ラスボス感満載の雰囲気出してますけど、はっきり言って目障りです」


初めて湊パパと会った時には、家族が羨ましい、と呟いていたのを完全に棚に上げた航海は、いつかと同じく敵側のリーダーに喧嘩を吹っ掛けた。



「あはははっ、君達は本当に面白いですね。揃いも揃って私を悪者扱いですか?これだから、“ごっこ遊び”など早くに辞めておけば良かったものを」


目線だけを横に流して航海の能面顔を捉えた湊パパは、さも可笑しそうに肩を震わせて笑い始めた。



「ごっこ遊びって……、」


まさか、湊パパは血の繋がらない私達が“家族”と呼び合っている事を遊びの一環だと捉えているのだろうか。


檻の隙間から見える湊パパの表情は信じられない程冷たくて、数日前にエレベーター内で話した時とは全く違う雰囲気だ。


背中を悪寒が走り、私は思わず両肩を上げて縮こまった。



「……何言ってんのお前、俺らのやってる事の何がごっこ遊びだって?」