ママの手料理 Ⅲ

ドアの近くに立ち、大也のいきり立つ様子にもまるで動じない湊パパと、未だに檻の目の前に座り込んだまま微動だにしない湊さん。


(何これ、どうしよう……)


ティアラを持ったまま蚊帳の外の存在になってしまった私は、ただただ固唾を呑んで火花を散らす2人の様子を見守っていた。



と。


「そこに居ますよね湊さん、盗みはもうすぐ終わるので1発殴らせてください」


「おい紫苑、ティアラ今すぐ寄越せ。俺が付けて帰る」


何処からか私の名を呼ぶ声が聞こえたかと思うと、この場の空気を全く読まない怪盗mirageの2人組が、仲良く同時に部屋に入って来たのだ。


「湊さん、大人しく覚悟を決めて…って、え」


「…なんじゃこりゃ」


先陣を切って登場した航海は、血と同じ真っ赤な目で私の姿を捉えて他のメンバーと同じように目を見開き、何故か前髪をちょんまげのように結った銀ちゃんは裏返った声をあげた。


その2人の反応は思った通りで、彼らのせいで目から火花を散らすのを止めた大也はぱっと後ろを振り返った。



「おいお前ら、何が起こったか説明…って、うぉお!何で湊の父親が此処に!?」