ママの手料理 Ⅲ

「しゃしゃり出てきやがって、黒幕はお前か…おいクソ野郎、今までの事全部説明しろ」


(ク、クソ野郎…!)


この数秒で湊パパが怪盗フェニックスのリーダーだと見抜いた洞察力は崇め称えるべきだと思うけれど、問題はそこではない。


いくらなんでも“クソ野郎”は酷すぎる、最悪の場合湊パパに殺されるのではなかろうか。


「ナイス琥珀、もっと言ってやんな!」


しかし、そんな危険性などまるで分かっていないらしい大也は、ぴょんと立ち上がって何故か琥珀にエールを送り始めた。


(ちょっと!)


檻の中に居る私は大也の口を塞ぐ事すら出来ないから、ただ自分の口に手を当てて湊パパの様子を伺うばかり。



「皆さん、どうして私を悪く言うんですか?悪いのは私ではなく、怪盗mirageを結成したこの男ですよ?」


そんな中、にこやかな笑みを顔に貼り付けた湊パパが優しい口調でそう言い放ったものだから、


「はあぁああん!?」


飛び跳ねながら琥珀にエールを送っていた大也が一瞬にして目の色を変え、まるでヤンキーの様に湊パパに向かってガンを飛ばし始めた。


「俺らの湊に向かって何言ってんだよおいコラ、その口縫い付けんぞ!?」


両手をだらりと垂れ下げた琥珀の前に立ち、勇敢なホストはギラギラした目で湊パパを舐めまわすように睨んだ。