ママの手料理 Ⅲ

ショックと驚きで灰色に早変わりした視界の中、ごくりと唾を飲み込んだ私は、目の前に居る湊さんに向かって尋ねる。


「…ほんと、ですか…?」



彼は、何の反応も示さなかった。


否定をしないという事はつまり、


「本当なんだ、……」


はぁっ、と、思わず息が漏れた。




どうして、何で。


此処から抜け出したいのと湊さん親子に対する疑問が頭の中を占め尽くしたものの、結局私は座り込んだまま何も言えなかった。


(せっかく頑張ってティアラ盗ったのに…。湊さんは、湊パパが盗んだのを知ってて此処に来たってこと?私達に何も言わずに?)



そうだ、怪盗mirageはいつもいつも隠し事が多過ぎるんだ。


こんな事になるくらいなら、最初から腹を割って全てを話し合っていれば良かった。


「っ……」


下唇を噛んでティアラを強く握り締めた私を見て、湊パパが鼻で笑ったのが分かる。



その時だった。


「よっしゃあ到着ー!琥珀こっちこっち!ティアラ盗ったら記念写真だよーん」


明らかにハイテンション過ぎる例のホストが、開け放たれたドアから意気揚々と突入してきたのである。


(えっ、)


驚いて顔を上げた私の目に映るのは、左足に赤く染まった包帯を巻き付けて若干足を引きずりながら、それでも満面の笑みを浮かべて入ってきた大也の姿。