ママの手料理 Ⅲ

(いや、そんなはずない…だって、湊さんのお父さんだよ…、?)


私の知る彼はお金持ちで貿易会社に勤めていて、優しそうな奥さんと元下僕の執事が居て、


(待って、どうして普通の人間が下僕を買えたの?下僕を買うのは闇の世界の人が多いのに…)


(え、貿易会社?…怪盗フェニックスも、表向きは貿易会社を名乗ってたって、……)


信じられない最悪の事実を想像してしまった私は、思わず手で口を押さえた。


そんな私を見た湊パパは、私の思考回路が全て読めているかのようににこやかな笑みを浮かべて。


「無茶をしては駄目ですよ紫苑さん、此処に入るべきなのは湊なんですから」


全く笑っていないその瞳を、斜め下に落とした。


「えっ、…何を、……」


「まだ分かりませんか?湊も、この子にしっかりした教育をさせれば良かったものを」


湊パパが蔑んだ様な目で見つめているのは、石像のように固まった愛息子。








「良いですか、紫苑さん。…私が、怪盗フェニックスのリーダーなんですよ」








「っ………、」


分かっていた、先程の会話で何となく想像はついていた。


それでも余りの衝撃に耐えられない私は、一瞬呼吸の仕方を忘れてしまって。


(いや、そんな、……、)