ママの手料理 Ⅲ

(まじで無理!てか何で弾が当たらないの?どんな身体能力してんだよこいつ!)



それから、俺とその女は距離を空けての銃撃戦に突入したのだけれど。


本来なら部屋中を逃げ惑って発砲出来るはずが、仁を護らないといけないせいで1歩も動けない。


対する女もその場からほぼ動いておらず、俺と彼女を阻むものは文字通り何も無かった。


上半身は防弾チョッキを着ているものの、無防備な足や腕に当たったら一巻の終わりである。



そして。


(あーもう!弾切れるでしょうが!)


舌打ちをした俺が呼吸を正して狙いを定め、自分の銃に残った最後の弾を女の脳天目掛けて撃ち込んだのと、


「っ、………!」


女が放った銃弾が俺の横をすり抜けて仁の方へと飛んで行ったのは、同じタイミングだった。



「…終わっ、た?」


俺を見つめる憎悪の籠った双眸から段々と光が消え、怪盗フェニックスはその場に倒れ込んだ。


(長かった…あー疲れた……)


女の息の根を止めた事を確認した俺は、大きく息を吐いて自分の銃をその場に捨てる。


弾が無くなった銃は此処でおさらば。


後は、敵が使っていた新型の拳銃をくすねれば何とかなるだろう。



「仁、終わったよー…」