ママの手料理 Ⅲ

他の人が琥珀が行方をくらましたことに気付けばいいけれど、残念ながら今は全員が決死の闘いの最中。


よって、両手が使えず無線機もあてにならない今、琥珀の運命は全てこの男の手中にある。


この人が自分をすぐに殺すとは考えづらいものの、あの怪盗フェニックスは人を殺すのに抵抗など無いはずだ。



(やべーな、どうすればいいんだ…)


相手を射殺す勢いで睨みつけたまま、琥珀はもう一度手を動かしてみようと試みたものの。


「いっ、!?」


再度強烈な痛みが走り、琥珀は思わず息を止めて下唇を噛み締めた。








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(はあー、俺ってまだまだお子様なんだな…)


琥珀がどうなっているかなんて知る由もない俺ー伊藤 大也ーは、心の中でそうごちりながら水鉄砲を噴射していた。


同じフロアでは、先程と同様壱が無言の闘いを続けている。


『私の知ってるmirageは、いつだって強くて格好良いんだから!』


それは随分前、紫苑ちゃんが建物に入るという危険を犯しながらも俺達に伝えてくれた事。


バラバラになっていた俺達のパズルのピースを何とか繋ぎ止めてくれて、良くない方向へ足を踏み出しかけていた俺を思い留まらせてくれたのは、俺よりも年下の少女。