ママの手料理 Ⅲ

「…何で知ってんだよ」


自分の醜態を晒している事に気づき、恥ずかしさからポーカーフェイスが崩れそうになりながら、琥珀は冷静さを装って尋ねる。


そして、それと同時に気付いた。


この男は、自分の右腕にスタンガンを当てて気絶させた怪盗フェニックスの一員だと。



「お前、日本で警察官やってんだってな?この警察手帳、かっこいいから俺が貰ってやるよォ」


そう言って相手がひらひらと見せてきたのは、琥珀がいざという時の為に胸ポケットに入れていた警察手帳。


「ふざけんじゃねぇよ、今すぐ返せこのクソ野郎」


そう言って動こうとしているのに、身体が鎖で縛られている上、左手に力も入れられなくて1ミリも動けない。


そんな琥珀の姿を見た男は、わざとらしく哀れみの目を向けてきた。


「あー、無理に動かない方がいいぜ?お前は何があってもそこから動けねーよ。なんてったって、俺がお前の左手折ってやったんだからよォ」


「は…?」



それはまるで、時間が止まったかのようで。


残酷過ぎる悪魔の囁きは、琥珀の呼吸を止める。


そのまま、彼は自分の血の気が一気に引いていくのを感じた。


(何言ってんだこいつ、俺の左手を折った…?)



確かに左手は激痛が走って動かせないし、右手はそもそも感覚すらない。