ママの手料理 Ⅲ

(本当はあの人、怪盗mirageの事を応援してくれてたのかな……)


ただずらかる事が目的なら、わざわざ味方を倒さなくても良いはずだ。


これは単なる都合のいい解釈かもしれないし、もう真実を知る術もないけれど。


(ガンマもあの人も、私を助けてくれた事に変わりはないよね……)


私の心から生まれたその感情は、温かい。



「…私も、頑張って45階に行かないと」


銃を突きつけられたあの恐怖の感覚を忘れようと頭を振った私は、よし、と自分自身に言い聞かせて階段を上り始めた。



頭の中では、


『落ち着いていけよ。達者でなァ』


名前も知らないあの人の優しい声が、何重にも重なって響き続けていた。








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(!?)


自分の首がガクンと前に落ちた感覚で、高杉 琥珀は目を覚ました。


「…?」


つまり、今まで自分は眠っていたという事である。


その事実に驚いた琥珀は、勢い良く顔をあげて辺りを見回した。


どうやら自分は何処かの部屋の真ん中に置かれた椅子に座っているようで、目の前には何処かで見た格好の男がこちらに背を向けて立っている。


此処はどこだ、今まで自分は一体何をしていたのだろう。