ママの手料理 Ⅲ

「最上階のティアラ盗むんだろー?mirageなら取り返せるはずだから、落ち着いていけよ。達者でなァ」


ガンマの件もあるのにこちらに攻撃もしてこない彼は、最後の最後でやたらとフレンドリーに話しかけてきて。


(えっ、……)


呆然と立ち尽くす私に向かってひらひらと手を振ってみせた緑髪男は、


「弾、補充しねーとなー」


と、空になった銃を手で回しながら階段を降りて行った。



「あ、ちょっ、ちょっと待って!」


その数秒後、我に返った私は階段の手すりから身を乗り出した。


あ"?、と、対角線上に居る葉っぱ色の綺麗な髪の毛が揺れる。


「ど、何処に行くんですか?フェニックスなのに、外に出て良いんですか…?」


もしもこのまま1階に降りた彼が、一直線にリムジンの方へ行って攻撃を仕掛けたら大変な事になる。


青ざめた顔で私が尋ねると、彼は分かりやすく眉間に皺を寄せて。


「何処って、ずらかって日本に帰るに決まってんだろ!こんなクソみたいな組織、こっちから願い下げだわ!」


世界的に有名なあの怪盗フェニックスに恨みでもあるのか、舌打ちをして大声をあげた。


「えっ……?」


今この建物内には敵である怪盗mirageが居るのに、闘おうとも思っていないのだろうか。