ママの手料理 Ⅲ

確かに、銃の引き金が引かれた感覚がした。


(っ………!)




しかし、いくら待っても弾が身体に侵入してきた感触がない。


「………?」


とうとう身体中の感覚が麻痺してしまったのだろうか。


怖くて目も開けられない私の耳が捉えたのは、



「あひゃひゃひゃ!こいつ、まーじでびびってやんの!空砲だよ空砲!ひー面白ぇ!」



緑髪男の、甲高くけたたましい笑い声だった。



(えっ、)


空砲?


固まった脳が、少しずつ動きを再開する。


そっと目を開けると、目の前には弾のない銃を放り投げて笑い転げている緑髪男の姿があって。


「どういう、事ですか……」


先程の流れからして、彼は私を殺す気満々だったではないか。


それなのに何で、こんな真似を……


「え?だって、お前殺しても2兆円手に入らないんだろ?なら殺す意味ないじゃねえかー」


笑いすぎて目尻に溜まった涙を拭いた彼は、私の疑問に答えるように理由を口にする。


「で、でも、私を守ってガンマは、」


「だからだよ」


急に真面目な顔つきをした彼は、じっと私の目を見つめた。


その目は一切笑っていなくて、カラーコンタクトでも入れているのか、髪と同じ色の瞳が私の心臓に新たな鼓動を生み出す。