ママの手料理 Ⅲ

(えっ!いつから居たの!?気配感じなかった!)


そのアジア人顔の男は手にした銃を真っ直ぐ私に向けていて、不意打ちを食らった私は動く事すら出来なくて。


(どうしようどうしよう、死んじゃう…!)


先程まで飲料水の事を考える余裕があったのに、早くも私の頭の中は“死ぬ”という2文字が支配していた。


(やばいやばい、皆に助けを求めた方がいい?でもそんな事したら撃たれる…?)


(此処から駆け下りて逃げるのは?いや、相手は銃を…私も銃で応戦する?)


そこまで自問自答を繰り返したところで、私ははたと気がついた。


私は銃なんて持っていないし、例え持っていたとしても怖くて引き金すら引けない人間だという事に。



(終わった……)


上からは怪盗フェニックスの男が睨んでおり、下に行こうにも助けを求めようとも銃で撃たれて100%死亡するこの状況。


まさに蛇に睨まれた蛙と同じ状態に陥った私は、目の前が真っ暗になる思いでガタガタと身体を震わせていた。


(死ぬ……絶対死ぬ……)


皆に最期の言葉を言う事すら叶わないなら、せめて血でダイイングメッセージでも遺そうか…、等と、遂に縁起でもない事を考え始めた矢先。