ママの手料理 Ⅲ

「No! No!(嫌だ!止めて!)」


大声をあげてわんわん泣き叫ぶ女性を、


「黙って下さいね」


その一言で一蹴したサイコパスは、先程と同じく穴の外に放り投げた。







しかし。


「え、…?」


彼女の手が、自分の腕から離れない。


(何で、)


命綱だと言わんばかりに航海の腕を握り締めた女性は、エレベーターから外に投げ出されたその格好のまま上を見上げ。





「オマエモ、ミチヅレダ」





悪魔のような笑みを称え、口を開いた。


「えっ、?」



その言葉を航海が理解したのが先か、それとも女性が勢い良く彼の手を引っ張ったのが先か。





いきなり腕を引かれた航海は、体勢を立て直す事すら叶わず、



「う、うわああああぁー!」






敵もろとも、地面に向かって落下した。









━━━━━━━━━━━━━━━……………………


「うるさいー!皆奇声しか発さないじゃん!」


貿易会社、26階。


此処に入ってどのくらい経過したかは分からないけれど、26階まで上ってきたということは、かなりの時間が経った事は明らかだ。


敵と闘うよりも早く45階に辿り着くことを目標に掲げた私ー丸谷 紫苑ーは、ひたすらに階段を上っていた。