ママの手料理 Ⅲ

「What!?(何よ!?)」


エレベーターが揺れる程の衝撃に見舞われた女性達は、掴み合いを止めて慌てて辺りを見回す。


そしてその双眸が捉えたのは、


「はーい、出口はこちらになります」


先程銃弾を撃ち込んだ場所を蹴り、壁に人が通れそうな程大きな円形の穴を開けた殺人サイコパスが、血を吸い込んだ目を細めながらこちらに話し掛けてくる、そんな光景。



「ヒッ…」


彼女達も、伊達に怪盗フェニックスを名乗っている訳では無い。


これからサイコパスに何をされるか瞬時に予想がついた2人は、一目散に彼に飛びかかった。


しかし。


「あ、僕じゃなくてこちらにお願いしますね」


蛇もとぐろを巻く程の強く冷めきった目で敵を睨みつけた航海は、何の躊躇もせずに1人目を穴の外へ突き飛ばした。


ギャー!という断末魔の叫び声が、瞬く間に小さくなっていく。


此処は19階だ、どう考えても助かる見込みは無いだろう。


「可哀想に、僕と闘ったことが運の尽きでしたね」


はあ、とわざとらしくため息をついてみせた彼は、その双眸を横に流した。


続いて赤い目が捉えたのは、肩に怪我を負った女性。


「さようなら」


彼女の怯えきった目を見ても何も感じない航海は、ロボットのような笑みを称えて彼女の腕を強く引っ張る。