ママの手料理 Ⅲ

しかし、


「I'll kill you(殺してやる)」


「You'll be die soon(お前はすぐに死ぬよ)」


ブロンドヘアーの彼女達の唇が紡ぐ綺麗な英語の文章は、明らかに航海の提案を拒否している事を物語っていた。


(ですよね…)


肩をすぼめてみせた航海は、頭を掻きながら重心を低く保った。


「こんな所でナイフ振り回してたら危ないですよ?…ああほら、言わんこっちゃない」


ナイフを振り回してこちらに襲いかかってきた女性の手が、誤って味方であるもう1人の女性の肩を切り裂いた。


肩を切られて全身真っ赤な女性が、同じく真っ赤な女性に掴みかかる。


「あーあ、こんな所で仲間割れですか?怪盗フェニックスの絆は脆いんですね」


視界が赤いせいで距離感覚が鈍り、透明ガラスの壁が何処にあるのか分からない。


エレベーターの中央で殴り合いの大喧嘩に発展している女達を見張りつつ、航海は手探りで壁の位置を確認した。


「…申し訳ないですが、僕と闘う気がないなら殺しますね」


日本語ではあるが、一応殺害予告はしたのでお咎めは無いだろう。



おもむろに懐から銃を取り出した航海は、迷う事なく、


ババババンッ……


ガラスの壁に、円形になるように何発もの銃弾を撃ち込んだ。