ママの手料理 Ⅲ










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「…全く、紫苑さんには無茶しないで貰いたかったです」


貿易会社15階のエレベーター内では、琥珀がスタンガンで気絶させられた事など何も知らない航海が2人の女相手に闘いを強いられていた。


(エレベーターの中で闘うのは危険だと大也さんが言っていた気がするのですが…。出たい気持ちは山々ですが、どうやら無理なようですね)



どうしてエレベーターの中に入ってしまったのか、それは航海も良く覚えていない。


覚醒したのと湊への怒りの爆発、そして紫苑に説得されて気持ちを新たにしたところ、きっと勢い余ってエレベーターに飛び乗ってしまったのだろう。


全面ガラス張りで比較的大きめの造りのエレベーターだとはいえ、3人で闘うとなると流石に狭い。


しかも、闘っている最中に何度かボタンを誤って押してしまっているらしく、この巨大な箱は現在進行形で20階から15階辺りを行き来していた。



「…疲れました。一旦休戦してエレベーターから出るのはどうでしょうか?我ながら良い提案だと思うのですが」


箱の中が狭過ぎてほぼ何の技も繰り出せていない航海は、隅に移動して息を整えながら1つの提案を投げ掛けてみる。