ママの手料理 Ⅲ

皆が教えてくれた事を簡単に要約すると、伊織の刑期が終わっていた時点でほとんどの人が伊織の復帰に賛成だったらしい。


例え裏切り者だとしてももう十分反省しただろうし、それ以前に自分達は家族だから、と。




ただ1人、自分の意見を言わなかった琥珀を除いて。




それもそうだ、あの2人は数年前の事件の加害者と被害者で、琥珀は未だに伊織の事を恨んでいるのだから。


けれど、琥珀がそんな加害者の様子をたまに見に行っていたという事もまた事実で。


琥珀が何も言わなくて伊織が自ら刑務所の中に居る事を望んでいる以上、他の人達は為す術がない。


だから、伊織の話題が出た時はどういう表情をしたらいいか分からなくて無表情を貫き通した結果、いつの間にか彼の話題は禁句となってしまった。



しかし、今回銀ちゃんのパソコンがハッキングされた事でこの状況に変化が訪れた。


伊織を何とか刑務所から出させてアメリカに向かわせている時点で、彼は再び怪盗mirageの一員となったのだ。


そして、あの時琥珀が伊織に電話を掛けた事から、琥珀が加害者の復帰を黙認した事は明らかである。


そうして、銀ちゃんは怪盗フェニックスのハッカーとパソコン上で激しいバトルを繰り広げながら伊織の到着を待っているのだ。