ママの手料理 Ⅲ

「紫苑様、狙撃の準備は出来ております」


私の隣に座る笑美ちゃんは銃撃専用のリモコンを握っていて、モニターと連動したタブレットの画面を見つめている。


いつもは物静かで大人しい子だと思っていたけれど、今の彼女は目の色が変わっていた。


どうやら、下僕養成所という所で射撃の訓練を受けていたというのは本当だったらしい。



「あっ、あれ大也と航海じゃない?」


しばらく黙ってドローンを飛ばしていた私は、前方に立つ2つの見知った姿を見つけて声をあげた。


モニターに映るのは、懐に銃を3丁と植木バサミを括り付けた航海らしき男性と、頭に蛍光黄色のヘルメットを付けた男性。


(ん?大也、何被ってるの…?)


2人の横を通り過ぎながらカメラをぐるりと回し、その立ち姿を捉えた私は良い言葉を見つけられずに固まった。


目の前の敵に立ち向かっていく姿はヒーローの様で格好良いけれど、何せその被り物が良くない。


「…笑美ちゃん、上行こっか」


「かしこまりました、紫苑様」


1階にドローンの力は用無しだと判断した私は、即座に方向転換して上階へと上がって行った。





しばらく浮遊を続け、到着したのは5階。