ママの手料理 Ⅲ

「敵、居ませんね…」


明らかにつまらなさそうな声のトーンで航海が呟くから、思わず笑みが零れた。


そうだね、と言おうとした時。


「あ、…居た。1,2,…全部で5人!」


十数メートルは離れているであろう壁と植木鉢の近くに、大男共が5人隠れているのを発見してしまった。


(図体でかすぎて隠れきれてないよ!これぞ、頭隠して尻隠さずってやつ!)


俺達の後ろから、蚊のような機械音を立ててドローンが飛んでいくのが見える。


(紫苑ちゃんだ!)


嬉しくなって満面の笑みを浮かべた俺は、


「やばーい航海、俺やっちゃっていい?」


「左側の3人は僕に任せて下さい」


と掛け合いながら、首をゴキゴキと鳴らして歩みを進めた。


相手側も、随分と余裕そうな表情でこちらに近付いてくる。


スーッ、と息を吐いた俺は、



「お前ら、琥珀の何百倍もブスじゃん!死んでよ!」



理解不能な決め台詞を発しながら、勢いよく敵の顔面に拳を食い込ませた。


「オマエ!ユルサナイ!」


「まだ何もしてないじゃないですか、落ち着いて下さいよ」


隣では銃を向けてきた敵の手を航海が簡単に捻り、そのまま相手の腹にその銃を押し付けて容赦なく発砲している。