ママの手料理 Ⅲ

「笑美ちゃん、ドローン頑張ろうね!私達なら出来る、絶対出来る」


「もちろんでございます、紫苑様」


そして、私が唯一の女子である笑美ちゃんと再度手を握りあって気合を入れた時。


「…あと5分で2時だ。そろそろ外に行こうか」


頼もしいリーダーが、遂に迫り来る闘いへ向けて声をあげた。


「…皆!絶対、……」


その言葉を聞いた瞬間、我先にと太陽に照らされた地面に足をつける怪盗mirageの面々に、私は我慢出来なくなって思わず声をかけた。


一泊の間を空け、私の家族がこちらを振り返る。





「分かってる、ちゃんと皆で帰ってくるから。大丈夫だから、俺を信じて!」





私が言いたかった事を、求めていた台詞を、全て代弁してくれたのは、大也。


3年前からずっと、彼は私の命の恩人であり特別な存在で。


「…此処で待ってるからね!」


もう一度大声で呼び掛けると、私の大好きな家族は大きく頷き。





伸びた影を揺らしながら、ゆっくりと決戦場へ向かって歩いて行った。