ママの手料理 Ⅲ

彼女の名前はメアリーと言い、今回の依頼を怪盗mirageが受諾した事について深く感謝をしていた。


なんでも、盗まれたティアラは彼女の祖母と母が結婚式の時に身につけていたもので、その伝統を引き継ぎたいと考えていた矢先に事件が起こってしまったのだという。


2人共怪盗フェニックスの存在は知っていても面識はなく、どうして美術館や博物館に展示されているようなものよりも価値の低いティアラが盗まれたのか疑問に思っているそうだ。


そうは言ってもティアラはティアラだから、もし売られたりでもしたらそれを取り返すのは難しくなる。


しかし、風の便りで、ティアラは怪盗フェニックスの本部の最上階に厳重に保管されている、という話を聞き付けたから、私達が呼ばれる事になったのだ。



「何かさ、最初養子縁組切るって言われた時はまじで落ち込んだんだけど、」


横から聞こえる大也の声に驚いた私は、その横顔を見つめた。


「あんなに綺麗なお嫁さんがいるなら、やっぱり幸せになって欲しいよねー。2人の為にティアラ盗って帰りたいし、別にジェームズの事は恨んでないし」


元気そうに笑いながら言葉を紡ぐ彼の声は、隠しきれない震えを含んでいる。


「家族じゃなくなっても、離れてても、ジェームズは俺の恩人である事に変わりはないから」