昨日は散々だった。早めに寝床に入ったものの、精神的疲労がピークでも、なかなか寝つくことはできなかった。

暁は欠伸をし、そのまま洗面所に向かう。


「髪のセットめんどくさい……」


ぶつくさ言いつつも、慣れた手つきで整え、新しく新調された白薔薇の制服ーー白を基調にした、金色の装飾が入ったものを着てみる。


「却下」


考える間もなく、脱ぎ捨て、いつもの制服に着替える。夜色を纏い、そのまま部屋を出るとーーカナタが立っていた。相変わらず目立つ容姿だ。金髪に深蒼(しんそう)の瞳ーー竜の中でも、この色は高位を表すらしい。


「おはよう。黒猫君制服届いてるでしょ?オレは別に構わないけど、面白いから。向こうで洗礼受けるんじゃない?」

「それ、そのままそっくり返す」


暁はすかさず氷翠色(ひすいいろ)を纏っているカナタを指摘する。これはカナタが特別発注して作らせたもので、もちろん白薔薇の制服ではない。