「ねー黒猫君。また縁談蹴ったんだって?高貴な血を引くお嬢様。性格は高飛車だけど、綺麗なんだからOKすれば良かったのに」

「嫌だね。そういうお前こそ、いい加減嫁もらえよ。伝説の竜と謳われた末裔の血が絶えてもいいわけ?」


桜道をスラリと背の高い青年と黒衣を纏った少年が、そんなどうでもいい会話をしながら歩く。季節は春。どこもかしこも満開で、早く咲き過ぎた桜は既に散り始めている。


「いいよ別に。どうせいつかは滅びるんだからさ、生きているものは。黒猫君だって、同じでしょ?」

「多少は同感。俺は女なんてめんどくさい生き物は更々ごめんだしな」

「だよねー君は。オレは好きだけどー」


桜道は淡く染まり、夢と現実の境がわからなくなる。綺麗で、不思議で、異質な光景。


桜道を通り抜け、学園王がいる城へ向かう。