「……清宮」

「はい」

 どんな答えになったとしても、私は受け入れる。 叶わない恋だと分かっているからこそ、その答えを受け入れる覚悟はある。

「あの時の答えは……」

「はい」

 時雨先生はなんて答えるだろうか。……ドキドキする。

「すまない。答えは、ノーだ」
 
 やっぱり、そうだよね……。時雨先生にとっては私は、まだ子供だ。
 卒業したって、生徒は生徒なのかも。こんな子供と付き合うなんて、ありえないよね……。

「……はい」

「と言いたい所だが……」

 だけど先生は、そう言葉を続ける。

「……え?」

 私は顔を上げて、先生の顔を見る。

「答えはイエスだ」

「………」

 え? え? え……?!

「へっ!?」

 時雨先生の言葉にあたふたする。

「清宮、よろしくな」

「えっ、えっ……!? ほ、本当に?」

 ウソ……信じられない。

「清宮のこと、俺が守りたいって思ったんだ。……あの時のお前の涙を見て、俺が守らなきゃって、そう思った」

 時雨先生のその言葉に、私は涙が出た。

「時雨、先生……」

「俺はお前のこと、これからも守りたいって思ってる。……苺実の、ヒーローになりたいんだ」

 違うよ、時雨先生。先生は私にとってずっと、ヒーローなんだよ。