高級外車に両親と共に乗り、パーティーが開かれる香音人が両親と住んでいる屋敷へと向かった。

「香音人さんの家でパーティーが開かれるなんて、久しぶりね」

「そうだな。美桜、失礼のないようにな」

「はい」

両親が話す中、美桜は自分に話が振られた時だけ返事を返し、ボウッと窓の外を流れていく景色を眺める。パーティーが終わった後のことを考えると、緊張や喜びが胸の中にぐちゃぐちゃに混ざり、美桜はドレスのスカートを強く握り締めた。

しばらくすると、ヨーロッパ風の大きな屋敷に到着した。パーティー用のスーツを着た香音人が門の前で立っており、ペコリと頭を下げる。

「お義父さん、お義母さん、美桜、お越しいただきありがとうございます」

両親が招待してくれたお礼を言い、美桜も頭を下げる。すると、幸せそうに目を細めた香音人に自然と手を取られた。

「美桜、僕から離れないでね」

「……はい」

香音人に手を取られたまま、美桜は歩き始める。パーティーホールには、ドレスやスーツを着た多くの人で賑わっている。