「小花井くんを好きになれてよかった。こんなにも優しい人に出会えて、本当に幸せだったわ。……本当に、ありがとう」
想いは実らない、そう思うと美桜の目の前がぼやけて形となって流れていく。ごめんなさい、そう呟いて篤人に背を向けて走り出そうとした美桜だったが、「待って!」と言われ、背後から篤人に抱き締められる。
たくましい腕の中に閉じ込められ、美桜の鼓動が高鳴っていく。心臓の鼓動が壊れてしまいそうなほど動いていき、どこか苦しい。だが、美桜の心の中には幸せがあった。
(香音人さんに触れられても、こんな風に感じないのに……。本気で好きな人だから?)
顔に熱が集まっていく。互いに無言のため、聞こえてくるのは鼓動の音だけだ。それは美桜のものも、篤人のものも、どちらもいつもよりずっと早い。
「……逃げないで。両想いなんだから」
囁かれたその声に、美桜の体がびくりと震える。篤人の声は、どこか震えているように聞こえた。
想いは実らない、そう思うと美桜の目の前がぼやけて形となって流れていく。ごめんなさい、そう呟いて篤人に背を向けて走り出そうとした美桜だったが、「待って!」と言われ、背後から篤人に抱き締められる。
たくましい腕の中に閉じ込められ、美桜の鼓動が高鳴っていく。心臓の鼓動が壊れてしまいそうなほど動いていき、どこか苦しい。だが、美桜の心の中には幸せがあった。
(香音人さんに触れられても、こんな風に感じないのに……。本気で好きな人だから?)
顔に熱が集まっていく。互いに無言のため、聞こえてくるのは鼓動の音だけだ。それは美桜のものも、篤人のものも、どちらもいつもよりずっと早い。
「……逃げないで。両想いなんだから」
囁かれたその声に、美桜の体がびくりと震える。篤人の声は、どこか震えているように聞こえた。


